生まれたばかりの子どもの視力は光を感じる程度ほどと言われています。
その後1ヶ月ほどで物の形、2ヶ月ほどで色が分かるようになります。
4ヶ月になると物を目で追う事が出来るようになり、7歳になると大人と同様の視力に達します。
子どもの視力が発達するには、目から受けた刺激を脳が正しく理解し毎日物を見ていく事が大切です。
斜視について
斜視とは
物を見る時には左右の目がそれぞれ目標とする方向を向いています。
しかし片方の目が目標とする方向を向いているのにも関わらず、
もう片方の目が目標とは違う方向を向いている場合を“斜視”と呼びます。
斜視の種類
内斜視
片方の目が内側を向いている
外斜視
片方の目が外側を向いている
上斜視
片方の目が上を向いている
下斜視
片方の目が下を向いている
斜視の原因
斜視を起こす原因が不明な事もありますが、いくつか明らかになっているものもあります。
遠視がある場合や左右に視力の差がある場合
物を見る時に目はピントを合わせますが、
遠視だとピントを合わせる力がたくさん必要になり、
必要以上に目に力がかかるため内斜視となります。
また左右で屈折度数の差があると、視力の悪い方の目を使わなくなってしまう為、
外斜視となる事があります。
目を動かす筋肉や神経に原因がある場合
目の筋肉や神経に麻痺・病気などがあると筋肉の動きが悪くなり、
目標とする方向を見ることができません。
その為、物が2重に見え斜視になります。
遺伝による場合
多因子遺伝によると推定されていますが、
斜視そのものが遺伝するよりも斜視を起こす因子が遺伝すると考えられています。
人の目は左右でそれぞれ見た物を1つにする事(両眼視)で
物の遠近感や立体感を得る事ができますが、
中でも内斜視があると左右の目が別々の方向を向いている為、
3D映像を立体的に見る事や大型免許の取得が難しくなる事があります。
そのため内斜視の場合は早急に治療が必要となることがあります。
斜視の治療
それぞれの斜視の種類や程度によって治療法は異なります。
遠視が原因の内斜視の場合 ⇒ メガネでの治療が主となります。
それ以外の斜視の場合 ⇒ 程度によって斜視の手術が必要になる事があります。
他にも、手術をせずに目の訓練で目の位置を良くする方法もあります。
※成長途中である乳幼児には、鼻の根元が低く広いため白目の内側が見えず、
あたかも斜視の様に見える“偽斜視”があります。
偽斜視は成長にともない顔立ちがはっきりしてくると目立たなくなる為、
治療の必要はありません。
弱視について
弱視とは
物を見る事により、子どもの視力は成長していきますが、成長の過程で何らかの原因により視力の発達が妨げられると、メガネをかけても視力が出なくなります。
これを“弱視”と言います。
弱視の原因
斜視がある場合
斜視である目を使わなくなると、視力の発達ができず“斜視弱視”となります。
遠視・乱視がある場合
両眼に強い遠視があると、ピントを合わせる力を使っても十分ではない為、
常にピントが合っていない状態になります。
すると視力が十分に発達せず弱視になります。
また、片目に遠視や乱視があると視力の良い方の目だけで物をみてしまう為、
遠視や乱視がある方の視力が発達せず弱視になります。
先天性の眼疾患による場合
先天性の白内障や先天性の眼瞼下垂(重度)などでは目に十分な光が届かない為、視力が発達せず弱視になる事があります。
弱視の治療
まず、斜視の原因を精査し、それに合わせて治療を開始します。
治療開始後、視力を上げるための訓練も行います。
例えば、斜視が原因の場合は斜視の治療を行い、
遠視や乱視が原因の場合はメガネ治療を開始します。
訓練には視力が良い目を隠して(アイパッチ)、
視力が悪い目を使って視力が上がるよう刺激させます。
1日1時間を2回、休みの日は2時間くらい隠して訓練を行い、
視力を上昇させます。
補足
弱視治療は視力の発達が完了する小学校低学年頃までとされています。
この期間を過ぎてしまうと、
治療や訓練を行っても視力を良くする事は難しくなりますので、
早期発見・早期治療がとても重要になります。
弱視の早期発見
3歳児検診や就学時検診を受ける事はとても重要ですが、
子どもさんと一緒にいるご家族が普段の生活を良くみてあげる事がより大切で、
早期発見につながります。
- 顔を傾けて物をみている
- どちらか一方(よく見えている方)の目を隠すと嫌がる
- どこを見ているか分からない時がある(視線が合わない)
- 片目を常につぶっている
- あきっぽい
乳幼児なら…
人の表情に反応するか、音のないテレビやおもちゃに興味を示すか、
家具によくぶつかるか、など
このような症状が見られる場合は斜視や弱視の可能性がある為、
眼科受診をお勧めします。